吉葦有梨 よのなかのこといろいろ

よしとあし、ありとなし

第百六十八話目 空から降ってきた瓜

十月頃だったろうか、夜帰ってきたとき、庭のアプローチ脇に
見慣れないなにか石のような物体があるのには気づいた。
長さ30cmあまり直径15cmくらい。表面はつるっとしていた。


朝見ると薄緑いろの物体。


へっ?石じゃない…。


何…?


植物…?


どうやら瓜、冬瓜と呼ばれるもの。
このページでネコと並んでる写真があります。
これよりも大きいねぇ、いろはもっと薄くて石っぽい。


しかし、なぜ?


玄関から1.5mほど入ったところに何故?


何故なのかわからなくて、食べられるものとは知っていたけど、
怖くってさ、放置してた。そろそろ傷んできた。
う〜ん、処分はしなければならない。

百六十七話目 ふたご座流星群

長女が今見られるらしいけどというので、
ふたりで庭に出た。うっすらと曇っている

私:あんたふたご座知ってるの?
娘:知らん
私:あれがオリオン座、シリウスプロキオン、であれがふたご座

オリオン座が南中、天頂から少し東側

二人で空を見上げていたら、風が吹いてきた、
一分くらいで娘は寒いと去って行った。
私も寒くなってきた。ふたご座の真ん中くらいにちらっと線が走った。
え〜〜と多分流星、ということにしておこう。おやすみなさい。

第百六十五話目 夏と秋のせめぎあい

秋分の日早朝、とんでもない雷鳴に起こされる。


ごく近くに雷が落ちている。
それも間断なく落ちている。


今外に出れば空を支える大回廊の柱のように
数え切れないほどの稲妻が立ち並んでいるに違いない。


くわばらくわばら、これこそくわばらと唱えねば…。


夜が明けて、いったん雨は上がったものの、
雷雨は午前中にもあった。
季節が大ジャンプをしたかのように涼しいを通り越して寒い。


夕方の天気予報を見たら、気象予報士の人が
「今朝の雷雨は夏と秋が戦って、
 そのあと涼しくなったのは秋が勝ったということなんですね」と。


なるほどなるほどよくわかりました。
これで夏が勝ってたらまた大変だよぉ。
夏の筒姫と秋の龍田姫が戦ったってことね。
政権交代はもうちょっと穏便にお願いしますね。

第百六十四話目 ツクツクボウシ

地蔵盆が過ぎても気温が下がるきざしもない。


「暑いですねぇ」
「いつまで続くんでしょうねぇ」
と言い合っていると
「でもね、もう蝉は鳴いてないよ」
と言う人がいた。


確かに表のケヤキ並木、
ついこの間までクマゼミがうるさく鳴いていたはずだが、
今はひっそりしている。
今年の蝉はすべて羽化して死に絶えてしまったということか。


この並木ではツクツクボウシの声は聞いたことがないなぁ。
奈良の自宅では普通の年ならツクツクボウシが鳴き始めるはずなのだが…。


次女の幼なじみがお盆に田舎でなくなったので、
八月二十五日はお別れの会だった。
マンションの集会室でご遺族が控えているところを
三々五々弔問客が訪れることになるが、
ご遺族も疲れるんじゃないかと思う。
次女を送っていってマンションの前で待っていると
建物の陰の木からツクツクボウシの声が聞こえた。
この夏初めてのツクツクボウシだった。


さびしい声だった。



それから二日後の明け方、蝉の声で目を覚ました。


ほぉうし ほぉうし ほぉうし


羽化したてなのか後半しかない。
よくウグイスが春先練習しているが蝉も練習するんだ。
ガンバレガンバレガンバレ。


いつの間にか眠ってしまったが、
朝には一人前のツクツクボウシになっていた。
次の日にはどっかに行ってしまった。
どこかへ飛んでいって雌の蝉と出会ったかな。
短い生を精一杯生きよ。
まだつぼみの内に散った少年の分も。


wikipedia:ツクツクボウシ

第百六十三話目 阪奈道路

大阪府奈良県の境、生駒山を越える阪奈道路という道がある。

 写真中央、ぐねぐねとした細い道が上り(道の番号なし)、
 下へぐーんと走っていってU字ピン型に戻ってるのが、下り道(府道8号)。
  くだりは暴走族のメッカだし、
  このUピンを戻ってくる自信がないので
  まだ走ったことはない。
  上りだって結構怖いんである。


毎週月曜夜はNHK-FM
きたやまおさむのレクチャー&ミュージック」を聞きながら帰るので、
トンネルのある第二阪奈は通らずにがんばって阪奈道路を上っていくのだ。


この間もぐ〜りぐ〜り曲がっていくと
左側山側の路肩にカップルが歩いていた。
あんまり今風でない服装でスタイルもよくないなぁ。
どこへ行くのかなぁ?とか思いつつ、抜かして、
バックミラーでもう一度確認したら、姿が消えていた…。


いやまぁ、次のヘヤピンカーブを曲がっただけなんですけどね。

第百六十二話目 アイスクリームの季節

次女は八月盆休みあたりが誕生日なので、
誕生日ケーキにいつも苦労する。
いつもの店に注文しようにも盆休みだったり、
盆休みのせいで予約注文し損なったり。


そんなわけでここ数年は
サーティーワンのアイスクリームケーキが続いている。


今年は平日で買いに行けなかった。
二日遅れの私の休日に買うことになり、
新しくできた大型ショッピングセンターに出かけたのだが、
そこにはめずらしくサーティーワンがなかったのだ。
帰りに独立店舗に寄ろうねと約束したが、
母娘ともども鳥頭なのですっかり忘れて帰ってきてしまった。


遅い夕飯を食べ終わった九時過ぎ、ふと思い出した。
「あ〜、ゴメン。もうしまってるねぇ」
サーティーワン遅うまであいてるよ」
「ホントにぃ?」
「うん、Mちゃんとこ泊まったとき、
 自転車でコンビニ行ったら、隣のサーティワン開いてたもん」
「そしたら行こうか」
「えー、この格好で?」
彼女は入浴をすませ、ユニクロのブラトップと半ズボンをはいていた。
「まぁ、いいんちゃう」
「まぁ、いいわ」


という訳で出かけた。
前を進んだ車が二台、
コンビニとサーティワンの並ぶスペースに入っていく。
当然コンビニ目当てと思っていたが、
二台が二台とも奥のサーティーワンに向かうではないか!


その二台の家族連れのあとをついて入店すると
店内で食べている家族がいて、
私たちの後にも家族連れないしカップルが続き、
瞬く間に小さな店の中は超満員になった。
四つほどあるテーブルの三つが埋まり、
行列はレジからショーケース、
つきあたりでUターンして入り口までぎっちり。


こんな満員のサーティワンは初めて見ました〜!


そんな状況で誕生日プレートを書いてもらうのも気が引けたが、
お店のお姉さんは感じのよい笑みを絶やさず書いてくれた。
サーティワンでのバイトは手首が腱鞘炎になったりして大変らしいが、
こんな時間まで忙しいとはしら知らなんだ。


夏の夜、夕食もお風呂もすませてほっこりしたひととき、
「暑いねぇ、そうだっ!サーティワン行かない?今なら雪だるまだし」
って会話がどこの家庭でもされたんだろう。
意外な繁忙時間帯でした。
お年頃の次女(芳紀?十七歳)は
「こんな格好で来てもた〜」と嘆いてましたが、
他のとこの家族も似たり寄ったりだったから
お互い様でいいんじゃない?


 
夏の夜に涼しい音楽を。
井上陽水の声は力が抜けていていいです。
オリジナルだと歌詞の意味をじっくり考えてしまうけど、
この古い歌たちは能天気に聞けて楽しいです。