吉葦有梨 よのなかのこといろいろ

よしとあし、ありとなし

第百六十二話目 アイスクリームの季節

次女は八月盆休みあたりが誕生日なので、
誕生日ケーキにいつも苦労する。
いつもの店に注文しようにも盆休みだったり、
盆休みのせいで予約注文し損なったり。


そんなわけでここ数年は
サーティーワンのアイスクリームケーキが続いている。


今年は平日で買いに行けなかった。
二日遅れの私の休日に買うことになり、
新しくできた大型ショッピングセンターに出かけたのだが、
そこにはめずらしくサーティーワンがなかったのだ。
帰りに独立店舗に寄ろうねと約束したが、
母娘ともども鳥頭なのですっかり忘れて帰ってきてしまった。


遅い夕飯を食べ終わった九時過ぎ、ふと思い出した。
「あ〜、ゴメン。もうしまってるねぇ」
サーティーワン遅うまであいてるよ」
「ホントにぃ?」
「うん、Mちゃんとこ泊まったとき、
 自転車でコンビニ行ったら、隣のサーティワン開いてたもん」
「そしたら行こうか」
「えー、この格好で?」
彼女は入浴をすませ、ユニクロのブラトップと半ズボンをはいていた。
「まぁ、いいんちゃう」
「まぁ、いいわ」


という訳で出かけた。
前を進んだ車が二台、
コンビニとサーティワンの並ぶスペースに入っていく。
当然コンビニ目当てと思っていたが、
二台が二台とも奥のサーティーワンに向かうではないか!


その二台の家族連れのあとをついて入店すると
店内で食べている家族がいて、
私たちの後にも家族連れないしカップルが続き、
瞬く間に小さな店の中は超満員になった。
四つほどあるテーブルの三つが埋まり、
行列はレジからショーケース、
つきあたりでUターンして入り口までぎっちり。


こんな満員のサーティワンは初めて見ました〜!


そんな状況で誕生日プレートを書いてもらうのも気が引けたが、
お店のお姉さんは感じのよい笑みを絶やさず書いてくれた。
サーティワンでのバイトは手首が腱鞘炎になったりして大変らしいが、
こんな時間まで忙しいとはしら知らなんだ。


夏の夜、夕食もお風呂もすませてほっこりしたひととき、
「暑いねぇ、そうだっ!サーティワン行かない?今なら雪だるまだし」
って会話がどこの家庭でもされたんだろう。
意外な繁忙時間帯でした。
お年頃の次女(芳紀?十七歳)は
「こんな格好で来てもた〜」と嘆いてましたが、
他のとこの家族も似たり寄ったりだったから
お互い様でいいんじゃない?


 
夏の夜に涼しい音楽を。
井上陽水の声は力が抜けていていいです。
オリジナルだと歌詞の意味をじっくり考えてしまうけど、
この古い歌たちは能天気に聞けて楽しいです。