吉葦有梨 よのなかのこといろいろ

よしとあし、ありとなし

第百五十八話目 オグリキャップの思い出

オグリキャップ死んじゃったなぁ。
芦毛馬は皮膚ガンを起こしやすく長生きしにくいらしいが、
オグリキャップは二十五歳になっても元気だったのになぁ。
やっぱりおじいちゃんになっていて、骨がもろかったのか複雑骨折したのだそうな。
新聞でもニュースでも「骨折で死亡した」って書いてあるけど、
日本のマスコミってヘンだよね、
口蹄疫の牛やブタと同じなのに綺麗事しか書かない。
死に向き合わないのは精神を脆弱にすると思う。
悲しいからこそ向き合わないとなぁ、乗り越えていけないじゃないか。


今年で二十一歳になる長女が生まれたころから数年間、夫は競馬に凝っていた。
毎週末ごとに付き合わされるので、こっちもしょうがないから、
お馬さんの色やら血統やらいろいろ調べて覚えた。


競馬場にも何度か連れて行かれたけど、
私はケチなので複勝しか飼わなかった。
気に入った毛色の馬とか
 青毛なら絶対、当時*1青鹿毛も珍しかったのでそれも
 尾花栗毛*2とか綺麗な芦毛とか

誕生日が同じ馬*3とか馬名が素敵な馬とかに絞って
パドックで見て買うか買わないか決めたら、
複勝ではマイナスは出ないです。
でも、百円しか買わないので、勝ってもなんにも買えない。
それでも買ってる馬がゴール前、三着前後にいると
うわ〜〜〜!っとアドレナリンが出るのがわかる。
 だからさ、賭博がやめられないのは依存症って病気なんだよね、
 ドラッグ依存もそうだけど追放してこと足れりじゃなくて、
 立ち直る治療も注目して行くべきだと思う。
 それがマスコミの本当の役割なんじゃないか?
 糾弾するのが仕事じゃないだろう。


そのころは主立ったお馬さんなら顔がわかった。
競馬雑誌の表紙見てわかったもんなぁ。
一番美しかったのはトーカイテイオーだった。
三冠王取ったころは美少年だったが、
引退前の表紙は「テイオーもおっちゃんなったなぁ」と思った。
馬も老けるんである。
老けたというか全体にたくましい顔になったのね。


オグリキャップは斑のあんまり綺麗じゃない芦毛
他の馬と違って横顔がすっとしてなくて、段が付いてた、ちょっと犬みたい。
おデコが広かったんだと思う。
そこが先に白くなってたので、引退前頃はますますデコチンの馬になっていた。
おデコ広い分、脳みそも大きかったに違いない、
今日はレースだったことはもちろん、
どの場所で一番だったらみんなに喜んでもらえる
ってことまでわかってた、きっと。


ラストランの有馬記念、もうダメなんだろうなぁと思って見てた。
たら、するすると出てきて、最後のコーナーを曲がったころには
「ひょっとしてオグリキャップ勝つ?勝つ!」と!
ゴールが近づくに従って「ほんとに勝っちゃうよ〜!ウソみたい〜!」って。


あぁ、オグリキャップ、花道を飛び六法で入ってった、
勧進帳』の弁慶
そう思った。
ラストランとかみんなわかってたんだろうなぁ、彼には。
どうもありがとうね。あの世があるなら、どうぞ安らかに。

*1:まだサンデーサイレンス産駒がいなかったので

*2:明るい馬体に金色のたてがみと尻尾

*3:うちのダンナのはGI馬がバカバカ出るのに私の誕生日と来たら後にも先にもナリタブライアン一頭!