吉葦有梨 よのなかのこといろいろ

よしとあし、ありとなし

百三十四話目 やんばるの森ツアー

誰も付き合ってくれないので、一人でツアー申し込む。
申し込んだ時点では私しか希望者がおらず、
催行できないかもって言われたけど、めでたく決行できた。
よその家族は高校生くらいの男の子連れた夫婦と
小学生三人連れの五人家族。
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私だけ一人、アヤシイ女である。
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いいんだいいんだ、私は一人の方が気楽だし、
好きなもの好きなだけ見られるし、
トレッキングできるような靴は、
今私が履いてる長女のコンバース一足しか持ってきてなかったんだし。
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マイクロバスに乗って、やんばるの山を登ってく。
途中一ヶ所視界が開けて青い海と赤い屋根の集落が見えた。
お天気がよいとどこでも絵になる。
待機スペースが設けられているものの
両側から迫り来る亜熱帯植物の枝を
バスの屋根で払いのけつつ進む狭い道だ。
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トレッキング用の小道に入る。
案内の青年はメガネをかけてて、声が八嶋智人さんに似てた。
道をそれないようにの注意とハブが出るかもだけど、
夜行性のハブが見られたらむしろラッキーなんだそうである。
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ヒカゲヘゴってのは昔『探偵!ナイトスクープ』で
松村探偵が「食べられる木」を探してた、アレだな。
木と言ってもシダが太陽の光を求めて上へ上へ伸びていった結果なので、
幹ではなく根の塊に近いものだそうだ。
最近はやらないけどポトスなどのツル性観葉植物を仕立てるのに
へご付けといって、黒い繊維の塊みたいなものに沿わせていたが、
このヘゴはヘゴの幹であるようだ。
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他にも観葉植物でおなじみのクワズイモが道の脇に生えている。
クワズイモってきっと食べられないから喰わず芋なんだと思う、
葉っぱはサトイモに似ているのに。
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なんか見たことのある葉っぱ、ショウガ科はまちがいない。
ミョウガとは違って葉先に花穂が付き、今は実になっている。
翌日の昼食どころの庭で見つけた。
ゲットウだ、去年の冬、私が枯らした。
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ターザンの木と通称されるツル植物もみんなでかわりばんこにぶら下がった。
鞘が落ちてないかなと探してはったのできっとマメ科
奈良の春日山原生林では藤がこんな風に松に巻き付いていた。
自分では立たない、でも日の光はしっかり浴びる場所を確保、
やだなぁ、藤原氏ってそういう一族だったな。
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荒れ野に最初に生えるリュウキュウマツ
この森では背を追い越され、巻き付かれ、
タニワタリに着生され、もう息も絶え絶え。
そうして変遷していくのが豊かな生物相というもの。
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森が開けると道にはオオバコが生えてる。
あちこち小さく掘り返してあるのは
イノシシが掘った穴だそうな。
本土のものより小さいのだそうである。
獲れたら当然食べる、豚食文化圏だもん。
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「あそこです!ほら、あっ、飛んでった、遠くへ行っちゃう」
天然記念物ホントウアカヒゲがいたんだそうな。
ぴーちゅぴーちゅぴーちゅと声だけ聞こえた。
 アカヒゲってこんな鳥だったらしい
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それから、何匹もオキナワキノボリトカゲを見た。
木の枝から引っぺがしてしっぽを持って写真撮影。
葉っぱの上では綺麗な黄緑色をしている。
リンク先の解説ではペット用に乱獲されレッドデータ入りとあったが、
おとなしいし、しっぽ切れないし、色が変わるし、
手頃な大きさだし、よく見ると愛嬌のある顔をしてるし、
確かにペットによさそう。
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沢の水に触れるところまで行き、記念撮影をして戻る。

もののけ姫の森だ。
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帰り道、ひらひらと黒い蝶
ではなくて、黒いトンボ!
雌を探す時、蝶のようにホバリングするんだそうな。
胴体が金属光沢の青緑色。なんとまぁ、綺麗な。
止まるたびに写真にチャレンジするが、
光量が足りなくてぶれてしまう。

ぶれているけど、綺麗な色でしょう。
リュウキュウハグロトンボ
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このトンボの写真をしつこく撮ってたのが
私と三児の父。前方から、案内人が呼んでる。
すぐ近くの木に特別天然記念物
ヤンバルクイナより個体数が少ない*1と言われる
ノグチゲラが止まっていたのだそうな。
「ほら、今はあそこです」って指さされたけどまたわかんなかった。
ぴっちゅん、ちゅ、ちゅ
鳴き声だけ聞こえた、またかよ。
三児の父の奥さんが「頭が赤かったわよ」って言ってたから、
近くにいさえすれば見落とすことがないくらいの場所にいたのだ。
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ヤンバルクイナより珍しいんですけどね、
 名前が野口さんが見つけたのでノグチゲラ
 もっとヤンバルノグチゲラとかだったら、人気が出たかもなのに」
っておっしゃってた。あ〜〜、聞き覚えがあると思った。
昔、ヤンバルクイナアマミノクロウサギイリオモテヤマネコ
と一緒に切手シリーズになってましたな。
確かに後の三種は特徴的な地名も入ってるし、
何度も唱えてみたいリズム感がある魅力的な名前だ。
ノグチゲラ唱えてみても言霊の力が感じられない。
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こんな感じで私の動体視力では鳥は見られなかったけど
なかなか楽しいトレッキングだったのだ。
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おきなわカエル商会
 ここにヤンバル地区の動植物の写真があります。
 でも、ヘビの写真もあるので気をつけてね。
a-rino-mi's fotolife
 私の写真はここ。沖縄の写真は右のフォルダ内。

*1:ヤンバルクイナが1000羽、これは500羽