吉葦有梨 よのなかのこといろいろ

よしとあし、ありとなし

百四十六話目 正倉院御物 ばちるのとうす

毎年じゃないけど行くのだ。
今年はご即位20周年記念だそうで、
ええもん出てるし、ポスターもリキ入ってた。
金屏風下地に御物から飛び出したモチーフが舞っている。
.
私のお目当ては文房具である。
もっぱら「刀子(とうす)」と呼ばれる
全長十数?ほどの木簡を削る小刀、
帯からぶら下げるアクセサリーにもなる。
.
今年出ているのは、ばちる細工のもの。
象牙の表面を染めて、彫り込んだ線で柄を描く。
ちょこちょこと細工して、モチーフがカワイイ。
高校生の時、学校から正倉院展に連れて行かれ、
このばちる細工のサシをみた。
その時のサシは赤かったけど、
今回は紺色地。小さな鳥や花。
持ち手が別素材のものもあるけど、
同じ素材のが素敵だな。
万年筆に仕立てるといいのにな。
.
磨き上げていない象牙の表面の触り心地、
彫られた線のくぼみを爪でなぞって
刀身は冷たく、象牙との質感の違い・・・。
.
だが、近視に老眼が重なって、
めがねをかけても細かいところが見えないし、
外してもぼんやりとしか見えない。
来年からは双眼鏡を持参いたしますわ。