吉葦有梨 よのなかのこといろいろ

よしとあし、ありとなし

百十三日目 舞鶴 ホームズ&ドイル博

 11月1日、シャーロック・ホームズコナン・ドイル博(http://holmes-doyle.com/)へ岐阜支部のお誘いで出かけることに。同じ近畿地方とはいえ、奈良からは遠いのである。誘っていただいてホントによかった、一人では途中の綾部の30分普通電車待ちでくじけていたかもしれない。三時間半かけて、11時半に舞鶴駅にたどり着いた。舞鶴駅構内にもホームズ&ドイル博のポスター、観光案内所にもパンフレットが数種。とひときわ目を引くイラスト入りのパンフレット!ラフなタッチのイラストで丸顔のホームズとシルクハットをかぶりヒゲをつけたイノシシ(黒豚?)。舞鶴ふるるファームで、ドイル博協賛のイベントがあるのだという。ホームズのイラストはありがちであるが、このヒゲをつけたワトスンがうれしいではないか。時間さえ許せば、是非とも行ってみたかったのだが、今回は諦めることに。
 そうこうするうちに皆さんそろい、タクシーでホテルのバイキングへ移動する。肉じゃがとチョコレートファウンテンが売り物であるが、肉じゃがは相当に甘かった。舞鶴の肉じゃがは甘いのだろうか?そういえばさっきのふるるファームにも「肉じゃがジェラート」なるものが紹介されていた。
 食事も終わって、博覧会場、まいづる智恵蔵へ移動する。この旧海軍の倉庫群は今年重要文化財指定をされたそうで垂れ幕が下がっていた。入場料無料に一同恐縮する。一階は縄文時代丸木船、元の倉庫引き込みレールとディーゼル機関車の常設展示とJSHC協力のホームズ紹介のパネル展示や会員提供のコレクション展示。白銀号事件挿絵の列車コンパートメント実物大復元は結構鳴り物入りで期待していた。ホームズの指が太いなどの声もあったが、みなここの写真は撮ったよね〜。
 売店では、イギリスからの錫製のホームズグッズ、バッジなど、地元の特産品でつくったホームズシルエットキーホルダーなどもあった。中にホームズの上半身が取っ手になった天眼鏡、握り心地はよくないのだが、でも、最近老眼が進んできて、拡大鏡が欲しかったところなので、思い切って買った。ここで、500円以上の買い物をすると探索ツアーへの参加権(パンフレット・缶バッジ・ホルダーのセットが二組)がもらえる。応募しなくても特典クーポンも付いている。が、これを回りきるには二日は必要な感じだ。残念ながら、日帰りです。
 いよいよ、二階がシャーロック・ホームズコナン・ドイル博である。いまだ整理し切れていないという膨大なるランセリン・グリーン・コレクションからの百五十点もの出品なのだが、広大な倉庫の二階に並べると意外と空いている。ドイル遺品、写真もあるが、映画のポスターがどうしても目立つ。ジェレミー・ブレットが撮影で使った長いパイプが素敵だ。私としては、Mr.Sherlock Holmes宛の手紙がおもしろかった。ボスニア・ヘルツェゴビナからとオーストリアからのもので、BakerStreetの綴りが怪しかったりする。ドイル宅に転送されたものはともかくとして、グリーン氏はこんな手紙をどうやって収集したのだろうか?アメコミの原画の描き込みぶりにも感心した。
 ライヘンバッハの水と土もガラス筒に詰められて展示されていた。神戸英国館の崎原さんから聞いた裏話だが、このコレクション、数が多いので、舞鶴まで持ってきてから通関したのだそうだ。リストを見るとライヘンバッハの「soil」となっている。土は土壌菌の問題で日本国内に入れる訳にはいかない。空港ならそのまま送り返せばよいのであるが、既に日本国に入ってしまっており、このままでは破棄することになる。貴重なコレクションを貸していただいて、「破棄!」と関係者一同真っ青になったのだそうだが、税関の人が助け船を出してくれて、「それはどういうとこのsoilなんですか?」「滝の沢から取ってきたものだそうです」「じゃあ、soilではなく、sandですね」「そうですっ!そうですっ!」というやりとりがあって、無事展示できたという。確かに砂よりももう少し粗い黒と白の礫が詰まっていた。この中で増えている菌はいないと思われる。滝の水の方が黄褐色に変色していて、なんだかアブナイ雰囲気を醸し出していたのである。
 さっきもらった探索ツアーセットに隣の棟の喫茶店のホームズセットのチラシが入っていたので、皆で移動。シャーロッキアン相手は入れ食い商売だなぁ。残念ながら、セットのスコーンはバサバサしていて、付け合わせもクロテッドクリームでなくソフトクリームだった。
 日暮れまで倉庫群を探索することになる。「この棟は空いてるんですよね」「ホームズクラブのみんなのコレクションとかの博物館が出来ないですかね」などのお話をしながら、鉄道に造詣の深い松下さんの解説の元に廃線跡散策へ移っていった。百年あまり前のトンネルの煉瓦積みに感動を覚えながら、この日の集まりはお開きとなった。