三十七日目 白鳥処女伝説
歌舞伎見てきたのだ。
体調イマイチで、結構寝た。
『黒手組助六』のパロディはそんなおもしろくなかったな。
阪神出せば大阪人は喜ぶってものでもない・・・。
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前から四列目だけど、右端から三番目、
付けうちの人が目の前にいる。
永六輔を渋く男前にしたような人で
要するに全然似てないんだけど、着てるものと髪の毛がほぼ同じなのだ(‥ゞ
横顔はレオナルド・ダ・ヴィンチの描く老人の横顔にも似てる。
『熊谷陣屋』のときは満足げに袖に戻っていったが、
『黒手組』の激しい立ち回りのつけは会心の出来ではなかったらしく、
苦笑したような顔でしばらく座っててそれから引っ込んだ。
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隣のおばさまは観劇中には着信受けてメールの返事返してた。
下手側の老夫婦は熊谷が花道で芝居して入るのに
立って出ようとした。お行儀の悪いのは若者じゃないです。
ワタシも若者ではありませんが・・・。
寝てるのが一番悪いならまぁ、一言もありませんが。
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踊りに入ってやっと目が覚めてきた。
『羽衣』と『団子売』。
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『羽衣』前に片岡愛之助で見たけど、もっと能仕立て。
最後、天女はちょっとだけせり上がって、
漁師がスッポンをせり下がって、上昇感を出したところがミソ。
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お能の漁師は「舞を見せて」ていうだけで
羽衣隠して「嫁になれ」なんて要求しない高潔な人であった。
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で、無理矢理、このブログのテーマにもどすけど、
羽衣伝説は白鳥処女伝説といってグローバルな話だそうな。
ワグナーの『ヴァルキューレ』とか。
『羽衣ミシン』
よかったです。ヒロインの白鳥っぷりもそうだし、
サブキャラにまで愛があって、ぐすんぐすんと泣きました。
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『団子売』は背景が大阪になってた。
孝太郎さんはつい批判的に見ちゃいますが、
この団子売の女房は楽しそうで色気もあってよかったと思う。
「天神祭」の提灯が見える「天神橋」。
対岸がすぐそばに描いてある。
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あのぉ、天神橋って長いんですけど〜。
今でこそ中之島が伸びて途中に中継地みたいなのあるけど、
これは大正か昭和初期に出来たみたいで、
それまでは天満橋、天神橋、難波橋の三本とも
大川(旧淀川本流)にかかった200m前後もある長い橋だったのだ。
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「♪天神橋長いな〜落ちたらこわいな〜」と童謡があって、
ホントに落ちたか流されたこともあるらしい。
明治のはじめに木橋が流されて、それから鉄橋に。
江戸の永代橋は人が殺到して落ちた悲劇が二百年ほど前にあったって。
江戸時代の大きな橋は浮世絵で見るが信じられないほどの高さの太鼓橋だ。
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この背景の対岸は中之島へ渡る淀屋橋としても近すぎる、
これじゃぁ、せいぜい道頓堀にかかる戎橋くらいだよね〜。
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このページ、一番下、左の写真に島を挟んでペアで見えているのが現在の天神橋。
天神橋より下流、堂島側に架かる橋