吉葦有梨 よのなかのこといろいろ

よしとあし、ありとなし

第百七十五話 国境に近い島にて

去年も石垣島に行ったが、今年の夏も行ってきた。
八重山諸島はなんだか好きだ。
星も見られたし、船にも乗れたし。


行ったのは16日から19日。
その前日に尖閣諸島に香港の運動化が上陸した。
くだんの船は石垣港に曳航されていたらしい。


さぁて、私は「固有の領土」なんてもんはないと思っている。
日本が1895年に領土と宣言する以前の
尖閣諸島はどこの領土かっていうとまぁ琉球王国のものだろう。
でも、その琉球八重山を戦争で取ったんであった。
石垣島には石垣島を治めるものがいたのである。


1895年というのはハワイ王国アメリカによって滅ぼされた年である。
帝国主義国家はどこでも鵜の目鷹の目で
自分の領土を増やしていた時代なんだろう。


国境なんてものはそもそも人間が引いたものに過ぎない。
「固有の領土」というのなら、アメリカはハワイはもちろんのこと、
アメリカ本土全体をネイティブアメリカンにお返ししなければならないだろう。
フン族ゲルマン人もお帰り願って、日本人も弥生人系は中国大陸に戻って…
ってやっていったら、ホモ・サピエンスはみんな滅びて、
ネアンデルタール人にもどったらええやん。



まぁ、そんなことを考えていたのだが、
石垣島で乗ったタクシーの運転手さんは、
以前は海底調査をして世界を回っていたのだそうで、大変話が面白かった。
引退前はシンガポールに住んでいたが、奥さんが
日本語が通じて和食が食べられるとこでないと永住はイヤと主張するので
二人の妥協点が石垣島だったのだそうな。


1969年の国際連合アジア極東経済委員会による海洋調査にもたずさわったんだそう。
これで「大量の石油埋蔵量の可能性が報告」されちゃって、
パンドラの箱を開けちゃったんですわな」と。
それまでは全然興味を示さなかった中国が領有権を主張しだしたという。
「さっさと区画を分けてアメリカのメジャー石油会社に権利を売って置いたらよかったのに。
 そうしたら、日中が紛争になったら、アメリカの国益に反するから口出しするだろうが、
 日本の利益のためにはアメリカは動かないから」


それから一ヶ月、日中関係、どんどん話はきな臭くなっている。
日本も中国も内政が行き詰まっている。


行き詰まったときはどの国もよその国が不当なことをしていると言い出し、
国民の不満をそちらに向けようとする。


第二次大戦前の日本やドイツは言うまでもないし、
アメリカも大恐慌から経済的に立ち直ったのは、
教科書で習ったニューディール政策などではなく、
第二次大戦の戦争特需であるという。リメンバー・パールハーバーというが、
アメリカ政府も戦争したくてたまらなかったのだ。


戦争すればいいと言う人さえいる。戦争すれば中国に勝つと。
勝てるだろうか?勝てない喧嘩を始めるのはお馬鹿さんだ。
太平洋戦争をしたときも最初ちょっと勝って、講和すれば損はしないと思っていたと。
それはお馬鹿さんだよね。今も同じことじゃないのだろうか。


それでなくても世界は早晩食糧危機が来るだろう。
石垣島のタクシーの運転手、山口さんも言っていた。
自分は昆虫を食べるのがいいと思う。養殖が簡単で高蛋白低脂肪だと。


確かにね、以前所ジョージ
「エビやカニなんて地上を這っていたら誰も食べないゼ」と発言していた。
所ジョージはエビやカニが好きじゃないんだろう、アレルギーがあるか。
だったら、エビやカニが大好きな人は、
昆虫をエビやカニの一種だと思い込めば食べられるはずだ。
味も似ているらしい。


先日、『探偵!ナイトスクープ』で中国出身の奥さんが
セミが食べたい、捕まえて、あぶるとおいしかったのに」という依頼があった。
探偵がイヤイヤ食べて、そのおいしさにビックリ!
食文化は世界でいろいろだけど、昆虫食文化は世界に結構ある。


戦争すればいいという人はどこまで考えているんだろうか。中国の人は虫も食べるよ。
 ウィキペディア:昆虫食
戦争がしたいのなら、虫を食べるくらいの覚悟は最低必要だよね。