吉葦有梨 よのなかのこといろいろ

よしとあし、ありとなし

百二十話目 卒業式

次女の中学の卒業式だった。
次女の学年というのは、
2008-10-02 百十二話目 魅入られる
で行事行事で雨にたたられる、あの学年である。
が、去年の九月二十六日の滝のような雨で
龍神様の気もすんだかして、
 いやぁ、予備日も一度雨が降ったから、九月二十六日じゃぁないな、
予備日で気が済んだかして、
今日はうららかなよいお天気だった。
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大阪では、お水取りが終わらないと春が来ないとよくいうが、
まさに十四日の春嵐とともに冬が去った、春が来た!
絶好の卒業式日和だったのだった。
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学校までの道筋の田んぼの畦に
レンゲソウオオイヌノフグリタンポポ
オドリコソウ・ナズナハコベタネツケバナ
色とりどりに咲いている。
三年前の入学式の時にも咲いていたと思う。
やはり今年は暖冬なのだ。
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保護者の方々は黒いスーツが多い。
いつもこんなに黒かったか?不況のせい?
みんな年取ってきてるんだから、黒は得策ではないと思う。
老けてきたら、顔の近くには肌色を引き立てる綺麗な色が必要だ。
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卒業生入場
おいおい、こういうときに後ろの席に配慮せず、
立ち上がってビデオとかカメラとか撮ってるのは、
本来圧倒的に少ないはずの親父もしくは爺ぃだな。
若い者に説教するんだよな、こういうヤツに限って。
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という私は、デジカメ付きケータイを
バッグに入れ忘れてきたバカです。
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うちの娘が来た。
いつも着ない「なんちゃって制服」を着て歩いてたら、
なんだかすらっとして大きいのだった。
顔はねぇ、親バカだから、
蘆雪画の「楚蓮香」にそっくりなんて好きなこといってますが、
スタイルは文句なしにいいよね。
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それは措いといても、
日本の若者はみんな姿勢が悪いな。
女の子の方がちょっとましかな。
男の子はスポーツ刈りや丸刈りの子でもみんな猫背。
親はそこまで姿勢が悪くはないから、
社会に出て、「その姿勢はなんだっ!」って
しつけられるんだろうな。
ちゃんと社会に出ないとダメかもだけど。
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一組の「い○○くん」から、名前を呼ばれて、卒業証書授与。
真面目そうないい少年だ。
最後の組の女の子はうちの名字と一緒なんだよね。
この二人が欠席だと盛り下がるだろうから、
三年のクラス編成の時、不登校傾向はない子を選ぶんだろと
私はちょっとひがんで思った。
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うちの娘も声は小さかったけど、
ちゃんとお辞儀も間違わずに証書をもらってた。
脇のスクリーンがビデオモニターになってるので、
顔がアップになったはずだが、そっちは見ずに
一生懸命、遠くの実物を見てた。
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卒業式では泣いたことない私なんだけど、
ちょっと感慨深かった。
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答辞は十人ほどで思い出を語る形式、
やっぱり龍神様の運動会は一番でしょう。
最後に締めくくりでキロロの『ベストフレンド』だった。
ほろっと来ます。
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親は校舎の外で待ってた。
クラスごとに先生と卒業生が出てくるので待ってる。
なかなか出てこないんである。
娘のクラスはなんでだか、最後だった。
熱血先生なので、「また熱く語ってはるねんわ」という声も聞こえたけど、
出てきた先生は保護者に向かって、手を挙げつつ、
「泣いてもぉた!」と。あぁ、あの先生らしい。娘もニコニコしてる。
このクラスだけ、校庭に出て、
秋の合唱コンクールで優勝した『キセキ』を歌って、
記念写真を撮った。
あ〜〜〜〜!式場は暗いし、娘も遠いからまぁいいやと思ったが、
この写真は撮りたかった(T=T)。
娘が隠し持っていたケータイで娘と友人らの写真は撮ったが。
あんなに屈託なく楽しそうなら、学校行けばいいのにね。
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友達としゃべって帰るという娘を置いて、学校を後にした。
丸い実をいっぱい付けたフウの木の写真も
春の空を背景にして撮りたかったな。
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帰り、裏道の空き地にスミレがいっぱい。
あんまりいっぱいあるので、一輪摘んだ。
私の幸せのイメージの一つに、
野原でスミレを見つけることがある。
なんだか、これからの希望がわいてきた。
うちの庭先で咲いている、ローズマリー青い花
十月からずっと狂い咲きし続けているワスレナグサ
三つまとめて、押し花にした。
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今日のよき日に中学を卒業したみんなに幸あれ、
いや、きっとあるよね。
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