吉葦有梨 よのなかのこといろいろ

よしとあし、ありとなし

百十六話目 冬晴れ

この頃朝テレビを見てると
富士山の映像によくお目にかかる。
雪をかぶった富士山は
小さくてもとっても神々しくて、
東京人をうらやましく思う。
 今はどうかは知らないけど、
 江戸時代は冬なら月夜も見えていたそうで、
 草双紙の絵表紙で見たことがある。
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年末の冬晴れの日、いつもの最寄りの駅から
電車に乗って、ぼんやりと南を見ていると
あっ、遠くまで見える。
2・3秒だが、遠くまで見渡せる。
最寄り駅は奈良盆地の端の丘陵地帯にあるが、
丘の間を通る瞬間、奈良盆地が見渡せるのだった。
奈良盆地の中にポコンと小山が見えた。
一瞬なので一つか二つか・・・
二つと思ったから二つ見えたのか・・・。
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大和三山
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地図を見ると確かに方向は合っている。
畝傍山は確実に見えないが、
正面に耳成山がある。
天香具山はぎりぎり?等高も低いが。
距離は30kmほど。
絶対あれは大和三山だったんだ。
十数年もここに住んでいて、
全然知らなかった。
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さぁ、これから大和三山を見るぞ〜〜〜!
と意気込んで、乗り込んでいるが、
それからは、鉛空ばっかり続いていて、
大和三山どころか、奈良盆地も見えない。
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