吉葦有梨 よのなかのこといろいろ

よしとあし、ありとなし

六十四日目 からたちの花


2015年7月24日追記:この記事を著作権侵害でチクった人がいて
半年ほど非公開にされていましたが、
北原白秋著作権はとっくの昔に切れています。
曲の著作権が残っていても歌詞を載せることにはなんの問題もありません。



そして、八月七日のコンサートというのは
『あきらさんとまこと君 ふたりのオーケストラ』であった。
「あきらさん」はNHK教育の『クィンテッド』の「あきらさん」、
マツケンサンバII』の作曲者、宮川泰*1の息子。
「まこと君」は日本有数のサックス奏者で平原綾香さんのお父さん。
.
いろいろ書きたいことはいっぱいあるんだけど、
もう遅いし、明日から海へ旅行なので、一つだけ。
       *
『からたちの花』
.
北原白秋は大好きなのだ。
五感をくすぐる豊かな言葉。
.

からたちの花が咲いたよ
白い白い花が咲いたよ
.
からたちのとげはいたいよ
青い青い針のとげだよ
.
からたちは畑(はた)の垣根よ
いつもいつもとおる道だよ
.
.
からたちも秋はみのるよ
まろいまろい金のたまだよ
.
からたちのそばで泣いたよ
みんなみんなやさしかったよ
.
からたちの花が咲いたよ
白い白い花が咲いたよ

.
ほら、カラタチの花、その色、香り
とげの色、痛覚、
実の色、形、香り、食べられはしないが、漢方薬になる。
ほら、あらゆる感覚を呼び覚ましてくれる。
みんなやさしかった声もきこえる。
       *
 ここのブログでからたちの花とトゲと実が見られます。
       *
なのだが、この曲の方、
山田耕筰大先生が正しい標準語アクセントにあわせて、
この六節すべて*2微妙に違うメロディを付けたことで有名。
大阪人の私には「おまえの日本語は間違っている」と
言われているようで、なんとなく不快であった。
 ググると出てきた、私だけじゃないのだ。
       *
しかし、このコンサートの宮川彬良氏の解説を聞くと
ちょっと考えは変わった。
ピアノでメロディを弾きながら、
説明していくが、その読み込みが深い。
.
事実を述べているだけの第一節、二節。

からたちの花が咲いたよ
白い白い花が咲いたよ終わり
.
からたちのとげはいたいよ
青い青い針のとげだよ

第三節で「いつもとおる」主体がちらっと登場。

からたちは畑(はた)の垣根よ
いつもいつもとおる道だよ

が、また事実の提示に戻ってしまう。

からたちも秋はみのるよ
まろいまろい金のたまだよ


第五節でいきなりさっきの主人公が感情をあらわにする。

からたちのそばで泣いたよ
みんなみんなやさしかったよ

みんなやさしい日、いつもはいじめっ子の○○くんも
やさしい言葉をかけてくれた、
声はかけなくても視線で慰めてくれた。
誰もがやさしくしてくれる日、これは・・・

.
あ〜〜、そうでしたか〜、すいませんでした、
白秋先生、山田耕筰先生。
この子、近しい親族を亡くしたのだ・・・
涙がポロポロこぼれてきてしまった。
.
だけど、最終節、第一節と同じ言葉に戻り
淡々と終わる。

からたちの花が咲いたよ
白い白い花が咲いたよ

これは自分個人にとってこんなに悲しいことでも
世の中の万物はすべてこともなく回っていく。

.
そのあとに、サックスとピアノの二重奏で、
またまた泣かされてしまった。
       *
宮川さんのアレンジはアイデアといい、
楽器の見せ場を作るところといい、
とても楽しく素晴らしいのだが、
根っこの音楽や歌詞の読み込みがこんなに深いから、
感動させる編曲が出来るんだなぁと
ますます好きになってしまった。
       *
それなのに次女がCDにサインしてもらって、
握手してもらっているところ、写真失敗した。
暗いところでの撮影法とかスマイルシャッターとか
よくわかってなかった(T.T)。
お二人とも演奏のあとなのににこやかにサインして下さって*3
お人柄のすばらしさも伝わってきたのに・・・(T.T)。
この間の文楽西遊記』もロビーで孫悟空らのお人形と技芸員さん、
写真撮れたのに電池切れだったし、私は本当にバカです。
今日はカメラのマニュアルを一生懸命読んでおったのであった・・・。

*1:宇宙戦艦ヤマト』とかザ・ピーナッツの曲などの作曲者

*2:一節と六節目は同じなんだよね?

*3:クラシックの演奏家はあとのサイン会が大変だよね