吉葦有梨 よのなかのこといろいろ

よしとあし、ありとなし

十九日目 書き割りの月

今日は月齢二十日の月。
そろそろ昇ってくるはずと東の空を見ていると
雲の中からにょっこりと顔を出した。
右側が欠けたふっくらとした輪郭、
夏だから、凛々しく立ち上がっている。
 もうちょっと傾くと
ミュージカル『Cats』のポスターになるんだよね。
ポスターのネコの目は瞳孔がネコのシルエットになっているが。
このネコの目が月をもイメージしてるのか?
多分単なる黒猫の黄色い目だったろうと思う。
でも、傾いた二十日月が昇ってくるのを見るたびに
『キャッツ』の黒猫さんがいると思うのであった。

 どうも人間は右が欠けた月の方が描きやすいらしく、
二十日月も三日月も右向いていることが多い。
二十日月だと別に九日あたりのふくらんだ上弦の月
間違えられても何とかなる、宵の口なのか夜更けなのかだが。
でも、三日月は困るんだよ。
遅くても午後九時には沈んじゃうホンモノの三日月と
 三日月の絵の太さだと月齢五日くらいにはなっちまうにしても
反対向いた二十五日月とこれを間違われては
時間が十数時間変わってくる。
右を向いた月は有明の月だから。

娘らの寝かしつけによく読んだ「こっこさん」絵本。
ここにも右側向いたニセモノの三日月が、
こっこさん、どんだけ起きてんのよ〜。
幼児が明け方まで寝ませんか〜〜〜?

 とはいえ、今夜は少し赤みがかった月がつんと立ったところへ、
雲がにじんでなんだか芝居の書き割りみたいだった。

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