吉葦有梨 よのなかのこといろいろ

よしとあし、ありとなし

二十四日目 夕凪

午後三時頃から、草抜きがんばった。
遠雷の音もして、パラパラと降ったこともあったが、
空は持ちこたえてくれた。
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そのあと、ブルーベリーと朝顔「満月」と
株分けできた匂いゼラニウムを地植えしてたら、
いつの間にか六時頃になった。
ものすごく蒸し暑く、立ち上がると立ちくらみが起こる。
暑くなる時期の立ちくらみは慣れっこなものの
この蒸し暑さは尋常じゃない。
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ふらふらしながら、植え替えの鉢を裏の土置き場へ運搬する。
パチモン・クロックスに土が入ったので、水道で流しに行く。
はいたまま、ざぶざぶ水をかけると気持ちがいい。
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そのとき、西から東に風が吹き渡った。
ふわぁ、生き返る〜。さっきまで風が全然なかったもの。
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と考えていて、はたと気がついた。
さっきから、夕凪だったんだ。
時計を見たら、六時五十分。
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うちは丘の上で西に川がある。
谷風が吹いてきた?あれ?夜は山風ではなかったか?
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復習しよう、陸と山は暖まりやすく冷めやすい。
よって昼暖まった陸と山には上昇気流が起こる。
すなわち、海から吹く海風と谷から吹く谷風。
夜になって冷めると風向きは逆になる、
陸風と山風が吹くはず。このサイトの図解を参照のこと。
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この風はたまたまなのだろうか?
否、私は日が生駒に沈んで暗くなる前の薄明時、
庭のベンチに腰掛けて夕刊を読むのを楽しみにしているが、
このとき風はいつも西から吹く。
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ということは、山風谷風というのは
そんなちっちゃい地形で吹くものではないようだ。
この場合、山は生駒山、谷は奈良盆地ということでいいんだな。
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このサイトで調べると本日の奈良の日没時間は19:14だということで、
風が吹き出した時刻より早いが、これは地平線真っ平らの場合の数値、
手前に巨大にそびえる生駒があるからね、
多分、六時過ぎには沈んでしまっていたのだろう。
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母が「よその土地では西には窓をとらないものだけど、
大阪では海から風が吹くから、西に窓を開けざるを得ない」と言っていた。
そういえば、昔、おばあちゃんの部屋は西向きで、
窓に折りたためる日よけを付けてあった。
夏休みは窓を開けて日よけをおろしたおばあちゃんの部屋で
蝉の声を聞きながらテレビ見ながらゴロゴロしたものだ。
そこが家中で一番涼しい場所だったと私は知っていたらしい、
ネコみたいなヤツだなぁ。
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陸風・海風だが、都会ではヒートアイランド現象が激しく、
夜も陸が冷えず、よくわからなくなっているらしい。
おばあちゃんの部屋も建て直してしまって今はない。
せめても夕凪を堪え忍んで昔を偲ぼうか。