吉葦有梨 よのなかのこといろいろ

よしとあし、ありとなし

百八話目 彼岸花

お彼岸である。いい天気だった。
最近、うちの近所のあぜ道ではヒガンバナ見ない。
絶えたのだろうか、さびしい。
咲いてれば見落としはないはずだが。

写真は18日に行ったバイト先で生けられていたもの。
間近で見るとますます「造化の妙」って感じだ。
花びら自体は反り返って内側に、
外側に華やかに突き出しているのは
同じ色のおしべとめしべだ。
英名が(red) spider lilyだというのも納得。
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白花はうっすらとピンクが入っている。
どっちも鹿児島からもらった球根だが、
白花は土が変わったせいか
全体が黄色っぽくピンクまでかかってきたそうである。
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ヒガンバナの全体像はりうりうさんのブログで見てね。
       *
ヒガンバナはなんでお彼岸がわかるんだろうね?
他の花なら葉っぱで太陽光の当たる時間を感じて
花芽を作ることが多いが、ヒガンバナの葉っぱは
花が終わってから出てきて春には枯れる。
春までに秋の準備をしてる?
何年か前の暑い秋はヒガンバナの開花が遅れたから、
地温で花芽を作っているのではと考えてる。
       *
私が小学生で植物図鑑を読みふけっていたとき、
ヒガンバナは「ユリ科」だった。
結婚してふたたび植物をふれあい始めると
ヒガンバナヒガンバナ科になっていた。びっくりした。
スイセンヒガンバナ科になっておった。
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ヒガンバナ科は英語でAmaryllidaceae
直訳すると「アマリリス科」である。
 まぁ、科名は日本でなじみの深い植物の和名を使うことが多いので、
 ツツジ科も直訳としては「エリカ科」となっている。
だから、ヒガンバナヒガンバナ科ヒガンバナヒガンバナだが、
英語では、 Amaryllidaceae Lycoris L. radiata となる。
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 ヒガンバナ属には2008-09-02 八十九日目 夏水仙でふれたナツズイセンも含まれる。
 これも花の時期、葉がない。
 学名:Lycoris squamigera Maxim.
 英名:Naked Lady、Surprise Lily、Resurrection Lily
 Naked Ladyは葉っぱがない美しい淡いピンクの花なので言われれば確かにとは思うが、
 ちょっと連想がなんですなぁ、オヤジじゃん。
 Surprise Lilyはなるほどの命名。つぼみは緑色で目立たないので、
 一夜にしてあでやかなみずみずしい花が出現したイメージ。
 Resurrection LilyのResurrectionは
 キリストや最後の審判のときの死者などに使う「復活」って意味だそうな。
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こうやって、ユリ科から独立したヒガンバナ科であったが、
毎度参考にする*1ウィキペディアによると

クロンキスト体系では従来の新エングラー体系で含めていたアロエ科、サルトリイバラ科等のグループを別に分類している。その一方で、ヒガンバナ科、キンバイザサ科(新エングラー体系など、ユリ科と別にすることが多い)をユリ科に含めている。
そのほか、従来ユリ科に含めていた多くの種を種皮などの特徴からユリ目とクサスギカズラ目に大きく分け、さらにそれぞれを複数の科に分類するダールグレンの分類体系(1985年)などがある。
最近の分子系統学の研究成果によれば、従来のユリ科は多系統群で少なくとも5系統ほどに分けられる。これに基づくAPG植物分類体系では、リュウゼツラン科なども含めて再編成し、ネギ科、ヒガンバナ科、クサスギカズラ科、ヒヤシンス科、キスゲ科、スズラン科、リュウゼツラン科(以上クサスギカズラ目)、イヌサフラン科、狭義のユリ科(以上ユリ目)、またその他の目に入るグループなどに細分している。

要するにユリ科はどんどん細分化されてるけど、
ヒガンバナ科とキンバイザサ*2*3
ユリ科に戻って来ちゃったということですな。
だから、分類とか信じられないんだよぉ。
「最近の分子系統学」ってのもこの先どうなるかわからないしね〜。
       *
オチが付いたので「リコリス」と「カンゾウ」のややこしい話はまたにします。

*1:ウソも混じってるかもしれない

*2:どんなもんかよく知らない

*3:一番周知の種はアッツザクラのよう