吉葦有梨 よのなかのこといろいろ

よしとあし、ありとなし

七十一日目 沖縄の夜空

終戦記念日には満月にもう一歩の月と木星が綺麗だった。
その右側にはさそり座のアンタレスとそのおつきの二つの星。
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さそり座の高さが沖縄と違う。
沖縄のさそり座は高いとこにあって立派だったなぁ。
  Yahoo!きっず星空
緯度で10度近く差があるから。
その代わり、北極星は手の届きそうなところにあったっけ。
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二泊目の晩、沖縄料理を食べて、コテージへ帰る。
星が綺麗。次女が星座を教えてという。
外へ出ると皓々たる月が東から揚がったところ。
月は星観測のじゃま。庭には危なくないよう
灯りがまんべんなく配置されてるので、
 でもムードは壊さないように
 ヤシノキをライトアップするようにしたり、
 灯りを石造りの透かし彫りの中に仕込んだり。
 この透かし彫りはパンノキのモチーフ。イチジク科。
 朝食のレストランテラスにも木があった。
 トゲトゲの大きな実が成ってるので、
 私は「ドリアン」かと思ってドキドキした。

ビーチへ出てみることにした。
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ビーチ側のプールではタヒチアン・ダンス・ショーをやってる。
そんなのもあって、やっぱり真っ暗とは行かない。
塀沿いの影に入って空を見上げる。
目をこらしても3等星くらいまでかなぁ。
冬なら、今住んでいるところでも3等星くらいは見えるからなぁ。
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北側の北斗七星、逆立ちして立っている。
ひしゃくの端の星を5倍のばすと北極星
北斗七星はおおくま座の一部だが、
北極星が属するこぐま座は北斗七星のミニチュアのような姿が全体。
こちらはひしゃくの柄の先、北極星を一番下に立ち上がった形。
大小の6と9みたいになってる・・・はずなのだが、
四つの星は暗いので目をこらしても見えず、
ひしゃくの受け皿の端二つの星だけがわかる。
この二つの星々(番の星:ばんのほし)は健気にも
大口を開けた北斗七星から、北極星を必死で守っているらしい。
世界的にもそういう伝説があるらしい。

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上の抱影先生のご本にはなかったと思うのだが、
琉球語では北極星のことを「にぬふぁぶし」と呼ぶと
ていんさぐぬ花』で知った。
返還前の沖縄に行ったことがあって、
行く前にこの歌を練習した。
船の上だったので、三番の歌詞が余計に心にしみた。
一番の「てんさぐぬはな=ホウセンカ」も
「○年のかがく」の付録に必ずついている、
今よりもポピュラーな花だったし。
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てんさぐぬはなや さみさちにすみてい
うやぬゆしぐとぅや ちむにすみり

てぃんぬむりぶしや ゆみばゆまりしが
うやぬゆしぐとぅや ゆみんならん

ゆるはらすふにや にぬふあぶしみあてい
わんなちぇるうやや わんどぅみあで

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「にぬふあぶし」エ段→イ段、オ段→ウ段なので
「ねのほうぼし」ウ段もア段に行くの?
「子の方星」=「北の方角の星」=「北極星
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エ段→イ段、オ段→ウ段だけでかなり意味がわかるようになるね。
てんさぐ(ご?)のはなや つめさきにそめて
おやのゆぃしごとや きもにそめれ
てんのむれぼしや よめばよまれしが
おやのゆぃしごとや よめもならん
よるはしらすふねや ねのほうぼしめあて
われをなせるおやや われをめあて
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「にぬふあぶし」は琉球民話では優れた人が空に上げられたものらしい。
 石垣市採取の民話
沖縄の街路樹の特集記事の載ってたJTAの機内誌に紹介されたお話は
羽衣伝説との組み合わせだった。
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羽衣を隠した男と夫婦になり、子どもも三人なした天女、
幸せに暮らしていたが、
ある日長女の歌う歌から羽衣の隠し場所を知ってしまう。
羽衣をまとって天に帰ろうとしたとき、
母親を慕って三人の子どもたちが泣く。
両腕に抱えたけれど、一人連れて行けない。
嘆く母子に気づいた夫は残った子どもをさしあげてやる。
一家の心をくんだ天の神さまは夫も一緒に一家を天に揚げ、
こぐま座(ではない訳だが、小びしゃく)にした。
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羽衣伝説では大抵おいて行かれる夫、
引き離されないのが優しくっていいなぁ。
一人残される自分のことは考えず、
子どもを連れてってやってくれと持ち上げて差し出す
この男、度量が大きくていいもんなぁ。
ええ話やんか〜、一家五人水入らず。
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天女が「にぬふあぶし」。
明るい方の二つの星が夫と長女かな。
あとの四つの星は・・・あれ?・・・
子どもは三人・・・五人だったんですか?
五人だと二人が両脇に抱えても一人余る。
どうしましょ〜(∋_∈)、
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おじいちゃんとおばあちゃんも連れて行ったとか・・・。
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話が長くなってきたので、西の方角と南の方はまた今度。